天明寛政頃の行商人の姿に呼び声を付記したもの。自著の随筆『瓦礫雑考』の罫紙を用い、十葉に「お駒飴」を始めとする22図が描かれ、以下「土平飴」など数十の考証が記される。本書は『近世流行商人盡詞』の他、諸書の抄録を合綴し一冊としたもので、渋引きの表紙に「喜多村よせ本」と打ち付け書きで題が記されている。 掲出は市井の夏向きの間食、心太売りの曲突きと、暑気あたりなどに効く枇杷葉湯売りを描いた部分。 同じ加賀文庫中に馬琴著で小杉榲邨補写の『近世商人狂歌合』なる一書がある。画風は異なるが、意匠構図、記述の一部は全く同じで、その関係は『洗雲亭清賞』に、利倉善佐が摸した絵に、信節が馬琴の考証を転写し、更に自らも補記したと解説がある。