第21期協議会提言2概要はこちら(平成16年2月提言) 「都内公共図書館発展のための連携協力について」

一. はじめに


1 公共図書館をとりまく状況の変化


  (1)  地方分権
  (2)  地方公共団体の財政危機
  (3)  社会の高度情報化

2 図書館政策をめぐる動き


  (1)  生涯学習審議会答申「社会の変化に対応した今後の社会教育行政の在り方について」(平成10年9月)
  (2)  「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」(平成13年7月文部科学省告示)
 図書館法第18条の規定に基づいて、図書館のあるべき姿を示している。
  (3)  社会教育機関への転換
 国の政策として、図書館が地域の情報拠点となり、課題解決型の社会教育機関へと転換することが求められている。

3 東京都の図書館政策


   「今後の都立図書館のあり方」(平成14年1月)は、都立図書館の目指すべき方向として、「広域的・総合的な住民ニーズに応えるサービス」、「区市町村立図書館への支援」、「効率的な図書館の運営」の3点を挙げ、区市町村立図書館との役割分担を踏まえた上で、協力貸出、協力レファレンス、研修など各種の協力支援事業の充実を図ることとしている。
 

4 提言の目指すもの


  社会状況の変化や図書館政策をめぐる動き、東京都の図書館政策を視野に入れ、都立図書館における都内公共図書館との連携協力のあり方について提案する。


二. 都立図書館の役割とサービスについて


1 調査研究図書館としての図書館サービスの展開


  (1)  調査研究図書館機能の重要性
今後の都立図書館が、調査研究図書館を中心としたサービス展開を図るべきである。
 理由
   都民生活の中で、情報収集・調査活動が重要度を増す中、高度・専門的なレファレンスサービス、調査活動への支援、情報提供サービスが一層重要なものになる。
   調査に関するノウハウの蓄積、豊富に有する専門資料、効率のよい各種データベースの維持、これらを支える司書職員が、都立図書館の強みである。これらを背景に、調査研究図書館を目指すべきである。また、こうした図書館こそ、広域を対象とする大規模な公共図書館の姿としてふさわしい。
  (2)  調査研究図書館におけるサービス(例示)
     ア 情報提供サービス  イ 印刷資料、電子資料を組み合わせた調査サービス
 ウ 文献送付サービス  エ 非来館型サービスの充実

2 館種、地域を越えた連携協力


  (1)  大学図書館や道府県立図書館、専門図書館、海外の図書館との連携
  (2)  区市町村立図書館と他館種との連携協力への支援

3 調査研究図書館機能を十分に果たすための資料整備


  (1)  調査研究図書館の機能を果たすための諸分野を網羅した内外の資料の収集
  (2)  調査研究図書館として需要の多い主題分野の資料の重点収集
  (3)  今後の調査研究に欠くことのできない電子ジャーナルやデータベースの利用契約


三. 都内公共図書館との新たな協力事業について


1 基本的考え方


  (1)  協力事業の意義
 都立図書館の基本的役割を調査研究図書館ととらえた場合でも、なお区市町村立図書館との連携協力は必要であるが、今日的な役割分担のもとに、区市町村立図書館の資料提供サービスを補完する性格の協力事業は見直すべきである。
  (2)  協力貸出の捉え直し
 協力貸出を調査研究図書館機能の一環ととらえ、協力貸出の内容と方法を見直すべきである。
  (3)  「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」にある多様な支援事業の展開
 都道府県立図書館の区市町村立図書館への援助として、「図書館運営の相談」など多岐にわたる新たな事業を展開するべきである。

2 協力貸出

 
  (1)  都立図書館の協力貸出は、調査研究のための資料など不足するものについて提供するもので、専門書や研究書が中心になる。
  (2)  図書館内におけるサービスと図書館外に対するサービスには、優先順位が付けられるべきである。サービスを効果的に実施できるように、協力貸出の方法、貸出期間、貸出対象、貸出要件などが検討されるべきである。
  (3)  保存状態や利用形態などにより、利用制限が必要である資料も存在する。利用を制限する場合は、提供方法を工夫することにより、調査研究に資するという協力貸出の目的に沿えるよう努めるべきである。

3 質問回答サービスにおける協力


   電子メールなどの新しい手段を有効に活用し、レファレンス質問に対して有効かつ迅速に対応するための協力方法を検討するべきである。

4 研修


  (1)  区市町村立図書館の職員を育成する研修は、指導者養成を中心とするものに移行するべきである。
  (2)  区市町村立図書館の新たなサービス展開に貢献するような研修を企画するべきである。

5 新たな支援事業


  (1)  区市町村立図書館が新たなサービスを企画するときなどに、都立図書館は相談に応じ、必要に応じて個別の支援を行うことは有効である。
  (2)  実験的な性格の強いサービス実践については、区市町村立図書館の企画と試行を、積極的に支援すべきである。

6 連絡調整等


  (1)  支援事業の円滑な実施のために、都立図書館と区市町村立図書館、及び、区市町村立図書館相互の連絡調整の推進を図るべきである。
  ア 都立図書館の事業に関する情報を積極的に広める。
  イ 区市町村立図書館に関する情報を収集し、他の区市町村立図書館に伝達する。
  (2)  協力事業の円滑な推進のために、関係者間で調整を行う場が必要である。
 


四. 区市町村立図書館に期待すること


1 区市町村立図書館の自助努力


  (1)  地方分権の下、自助努力により、自らのサービス水準は自ら維持することが求められる。
  (2)  連携協力に必要な資料に関する所定の知識や資料管理に関する技術の水準を維持することが求められる。
  (3)  担当館を設けるなど、都立図書館との連絡窓口を一本化し、協力事業の効率化を図ることが期待される。
 

2 ブロック等隣接自治体間の連携協力について


  (1)  ブロック等広域の協力連携組織を自ら設け、区市町村立図書館相互の連携協力により、サービス水準の維持・向上に努めることが期待される。
  (2)  協力連携組織の協力連携事業の質が維持され、継続されるよう、都立図書館が相談に応じたり情報提供したりすることが必要である。

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