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むさしあぶみ
2巻　浅井了意著　中村五兵衛　万治4年（1661）刊　2冊
請求記号：和584

明暦3年（1657）正月18日に発生した大火は、俗に振袖火事とも呼ばれ、江戸の町の大半を焼き尽くした。死者は十万人を越えたと言われる大災害であり、この時江戸城も罹災し、天守閣はこれ以降再建されることはなかった。
本書は、この明暦の大火について、火事の発生から経過をさまざまなエピソードを交え、死者供養のための回向院建立、復旧作業に至るまで記した見聞記的な読み物である。炎に追われ逃げ惑う人々を描いた挿絵が印象的である。
初版は、万治4年（1661）京都の河野道清刊。本書は同一年記を持つ後印本である。万治4年版とは別版、つまり版木を作り直した延宝4年（1676）山本九左衛門版、明和9年（1772）版があり、長く読み継がれたことがわかる。当室でも、それぞれ東京誌料、特別買上文庫に所蔵している。