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恋川春町作・画　安永5年（1776）刊　鱗形屋孫兵衛版
加12495

萌黄色の表紙の青本と体裁は変わらないものの、内容が大人向けの諧謔味あふれる洒落た読み物へと変化したのが黄表紙である。安永4年（1775）刊の春町作『金々先生栄華夢』をもってその嚆矢となすが、本書はそれに続く春町の黄表紙第二作で、謡曲『善界』『鉢木』の趣向をもとにした作。天狗が高漫斉とその弟子たちを魔道に引き入れようとする内容であるが、当時の俳諧、茶の湯などの浮薄な流行や営利に走る宗匠の実体を風刺的に描いている。
当時草双紙の絵題簽は、版元がその年の新版のデザインを統一するようになっていた。当絵題簽も他の安永5年鱗形屋版黄表紙と同様、斜線の中に花などを色摺りにした図案で、褪色のためはっきりしないが、「新版」の文字の間にくくり猿が色摺りで入っている意匠。