10. Japanische Dichtungen. Weissaster. Ein romantisches Epos, nebst anderen Gedichten (『孝女白菊詩』)
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Japanische Dichtungen. Weissaster. Ein romantisches Epos, nebst anderen Gedichten (『孝女白菊詩』)
[井上巽軒(哲次郎)他原作] カ、フロレンツ著[訳] 長谷川武次郎 東京 明治28年(1895)刊 第2版 原帙つき(多色摺繪入・ちりめん本)
frei nachbildet von Karl Florenz. Tokyo :T. Hasegawa. Leipzig: C.F.Amelamg's Verlag.
請求記号:特756
長谷川弘文社刊行の上質和紙の色刷りに縮みを入れた「ちりめん本」と呼ばれる和装の絵入本です。(ちりめん本については、特別コレクション第1回および第13回でも紹介しています。)
井上哲次郎は、明治17年(1884)に刊行した『巽軒詩鈔』(そんけんししょう)(請求記号:井2426)において、西南戦争後に熊本などで伝承されていた娘白菊の孝行譚に想を得た漢詩「孝女白菊詩」を発表し、落合直文によって七五調の新体詩『孝女白菊の詩』として訳出されて世間に流布しました。本書は、井上の「孝女白菊詩」を、日本文化の研究者カール・フローレンツがドイツ語に訳したものです。
フローレンツはドイツ留学中の井上と交流があり(資料9『懷中雜記』を参照)、後に日本政府に招聘されて来日すると、ドイツ語やドイツ文学を教える傍ら日本文化の研究にも業績を挙げ、その一環としてちりめん本や日本の古典詩をドイツ語に翻訳して紹介しました。本書は「孝女白菊詩」の訳に加え、原作者巽軒の他の漢詩、上田万年の詩、都々逸の訳を収録しています。挿絵は「孝女白菊詩」部分は三島蕉窓、残りの詩の部分は歌川芳宗(二世)の筆になるものです。