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大江戸カルチャー  

江戸の学問 / 地本・絵草紙屋   


古典文学は江戸時代に花開く

文化期(1804~1818)以降、江戸では「合巻(ごうかん)」と呼ばれるスタイルの読み物が流行します。合巻とは、草双紙の一種で、それ以前に流行した黄表紙の物語性と製本様式を受け継ぎ、かつ長編化したものです。この合巻の中で人気が高かったのが柳亭種彦作『偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』です。この本はタイトルに「源氏(げんじ)」とあるように、「源氏物語」の世界をもとにしながらも、舞台を室町時代に移し、さらには大奥の内実も描いたとされ、女性から大人気を博しました。

偐紫田舎源氏 柳亭種彦著 歌川国貞画
文政12~天保13年(1829~1842)
五十四帖源氏壽語六 楳素亭画
安政4年(1857)刊
女庭訓御所文庫 下河辺拾水画
明和4年(1767)刊

では、読者はこの作品の下敷きとなった「源氏物語」を知っていたのでしょうか。実はこの「源氏物語」をはじめ、鎌倉時代に吉田兼好(よしだけんこう)が書いた随筆「徒然草(つれづれぐさ)」などのいわゆる古典文学が一般庶民にまで浸透したのが江戸時代でした。それまで公家(くげ)や武家などの限られた人々しか読むことのできなかった作品が、江戸時代になると原文だけでなく注釈本も刊行され、誰もが古典文学を楽しむことができるようになったのです。

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