稚六芸の内 書数(おさなりくげいのうち しょすう)
歌川国貞(うたがわくにさだ)(初代)画  東京誌料 390-C2

 「稚六芸」とは君子が持っている6種の教養「六芸」になぞらえ、子供たちの学習に必要な6つの教科をあげたもので、書は手習いを、数はそろばんを指しています。画面には子どもたちが「書」や「数」を学ぶ姿が描かれています。


 六芸とは、古代中国において士分以上の人に必要とされた教養のことで、礼(道徳教育)、楽(音楽)、射(弓術)、御(馬車を操る技術)、書(文学)、数(算数)の6種を指します。
 描かれているそろばんを見てください。上端(天)には2珠、下段(地)には5珠あります。現在のものより天地とも1珠多いことがわかります。この形は中国から伝来した当初の形状がそのまま残ったもので、明治時代になると、天を1つ減らした天1珠・地5珠の五つ珠の形が普及しました。そして昭和10年(1935)に、小学校において珠算教育が必修となった際に現在の天1珠・地4珠の四つ珠のそろばんになったのです。

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