意勢固世身見立十二直 納 梅見月のはつ午 暦中段つくし(いせごよみみたてじゅうにちょく おさん うめみづきのはつうま こよみちゅうだんづくし)
歌川豊国(うたがわとよくに)(三代)画 弘化4年(1847)~嘉永元年(1848)頃刊 東京誌料 074-C6-2

 江戸の風物詩・初午祭を楽しむ母子の姿を描いた作品です。絵にある詞書によると、子供が手に持っている馬の絵馬額を奉納すると、願いが叶うそうです。


 「伊勢屋、稲荷に犬の糞」と言われるほど、江戸の町には稲荷社が多くありました。その稲荷社が、いっせいに2月初めの午の日に行う祭、それが稲荷の初午祭です。
 現在の初午と違い、江戸時代は、笛太鼓の囃子や奉納神楽などが上演される華やかな祭でした。子供たちは、太鼓を打ち鳴らし踊るなど、遅くまで大騒ぎをしたと言われています。
 もう一つ、初午に欠かせないのが、絵にあるような染幟(そめのぼり)です。派手な灯籠飾り(とうろうかざり)や行灯(あんどん)も初午独特のもので、神社の参道には行灯がずらりと並べられたようです。
 なおタイトルの「意勢固世身」は伊勢暦をもじったもので、「十二直」とは、その運勢暦の中段に書かれることから「中段」と呼ばれ、暦に記載される日時や方角などの吉凶を記したものを指します。

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