源氏十二ヵ月之内 孟秋(げんじじゅうにかげつのうち もうしゅう)
歌川豊国(うたがわとよくに)(三代)画 安政3年(1856)刊 東京誌料 07761-C3

 孟秋とは7月のことで、この錦絵は7月の年中行事の一つ、盆踊りの風景を描いた作品です。切子灯籠(きりこどうろう)のもと、揃いの着物を着た女性が踊っています。


 盆踊りはもともと、仏教の行事の一つでした。平安時代、空也上人(くうや、またはこうやしょうにん)によって始められた念仏踊りが、盂蘭盆(うらぼん)の行事と結びつき、精霊(しょうりょう)を迎え、死者を供養する行事となったと言われています。そして 室町時代の初めには、現在のように太鼓などを叩いて踊るようになったそうです。
 江戸時代になると、宗教的な意味合いは薄れていき、庶民の娯楽という側面が強くなりました。延宝年間(1673~1681)頃にはあまりにも華美を尽くしたものとなったために、幕府から禁令が出されたほどです。
 また盆踊りには櫓(やぐら)を囲んで踊る「輪踊り」と言われるものと、踊り子たちが町中を練り歩く「小町踊り」がありました。7月15日に行われていたため、盆踊りはいつも満月のもと行われていたようです。

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