七五三祝ひの図(しちごさんいわいのず)
歌川豊国(うたがわとよくに)(三代)画 弘化頃(1844~1848)刊 東京誌料 07822-C3

 男女3歳での髪置(かみおき)、男子5歳での袴着(はかまぎ)、女子7歳での帯解(おびとき)といった子供の年祝いは、古くは中世の公家日記などにも見えますが、江戸時代になると庶民の間でも行われ、「七五三」と称されるようになりました。


 「七五三」とは、11月15日に行われる子供の成長を祝う行事です。現在では全国で行われていますが、もともとは江戸やその周辺地域のみで行われていました。
 着飾った子供を連れて各所の神社に参詣しますが、とくに神田明神は賑わったようです。左図には、女性の後ろに付き添う少年の手に千歳飴が見えます。この千歳飴が作られたのも江戸時代のことです。
 なお、この絵の落款(らっかん)には「国貞改二代豊国」とあります。国貞は弘化元年(1844)に師である豊国の名を襲名して二代を名乗ります。しかし、文政8年(1825)に初代の養子・豊重がすでに二代豊国を継いでいるので、この絵の作者は実際には三代豊国でした。

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