春色三題噺(しゅんしょくさんだいばなし)
春廼家幾久 (はるのやいくひさ)編 一恵齋芳幾(いっけいさいよしいく)画 刊 3巻3冊 加賀文庫 函108-4

 粋狂連と興笑連による三題噺の会の成果をまとめた出版物です。表紙や序文等には、粋狂連と興笑連の紋があしらわれています。本書は、幕末の三題噺全盛期につくられました。


 編者の春廼家幾久(はるのやいくひさ)は、大伝馬町の大店の主人で、粋狂連・興笑連の中心人物として、さまざまな三題噺本の編集に携わりました。
口絵には、三題噺の会の会場の様子が描かれています。中央に高座があり、観客たちが口をあけて笑いながら咄を楽しんでいます。観客が、隣と話をしながら茶を飲み、くつろいでいる様子がわかります。落語の最盛期にはどの町内にも寄席があり、近所の人が気軽にやって来ました。ほぼ一日かかる歌舞伎見物にくらべ、落語ははるかに手軽な楽しみでした。

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