粋興奇人傳(すいきょうきじんでん)
假名垣魯文 (かながきろぶん)、山々亭有人(さんさんていありんど)輯 一恵齋芳幾(いっけいさいよしいく )画 文久3年(1863)序 刊 1冊 東京誌料 210-54

 三題噺の粋狂連、興笑連の23人について、肖像、経歴、作話を掲載しています。三題噺の類書は多くありますが、本書は、作者の紹介とともに咄を掲載している点に特色があります。


 また巻頭には、江戸落語の祖といわれる鹿野武左衛門(しかのぶざえもん)の『鹿の巻筆(まきふで)』や初代三笑亭可楽(さんしょうていからく)の『可楽が一口話』の紹介や三題噺の会の風景の口絵が収録されています。
 文化元年(1804)に初代三笑亭可楽の始めた三題噺は、一時中断しましたが、文久2年(1863)に出版された『今様三題噺(いまようさんだいばなし)』を皮切りに、再びブームとなります。粋狂連、興笑連の中心人物であった春廼家幾久(はるのやいくひさ)や両連の有力者が名を連ねた本書は、三題噺本の代表作といわれています。

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