宮城外苑の一角皇居御守護の表象としての南朝の大忠臣楠公の銅像は変り行く東京の風物の中に永久に変らぬ存在である。其碑面の文字に依れば明治卅年住友吉左衛門男が亡兄の意思を継いで献納したものである。もとより此附近は御濠向うの丸の内の雑踏から隔絶し幽遼森厳の地附近一帯坦々たる芝生に若松の緑林を隔て皇居を拝することを得、自ら清浄の気身に侵む。
詳細(TOKYOアーカイブ)