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B1へようこそ! 〜資料準備の現場から〜

2024年3月作成

第3回 なぜ「ブックコートフィルム」を貼らないの?

今回は、資料管理にまつわるちょっとした豆知識をご紹介します。

図書館の本と言えばこのスタイル

 図書館の本には、下の画像のように「つるつるしたフィルム」が貼られていることが多いですよね。

ブックコートフィルムを貼った状態の本

 貸出を頻繁に行う図書館では、フィルムを貼ることでブックカバーの紛失を防いだり、表紙の痛みを軽減したりすることを目的として、このような処理をしています。一方、都立図書館では現在、このフィルムを貼っていません。なぜ貼らないのか、今日はその理由をご説明します。

理由その1:装幀をできるだけ元の状態で残すため

 近年、製本や帯、カバーまで含めた本の装幀について、様々な工夫を凝らしたものが増えています。ここ最近目にしたものだけでも、宮内悠介『黄色い夜』下村敦史『逆転正義』など「カバーを貼っちゃうと勿体ない!」と思うようなものがいくつかありました。ほかにも、カバー裏におまけの文章やイラストが入っている本も時々見かけます。このような素敵な装幀をできるだけそのまま保存しておくために、カバーを貼らないようにしています。

理由その2:長期保存を前提としている

 都立図書館では原則として、一度購入した資料は長期間保存されます。ブックコートフィルムには強力な接着剤が使われており、一度貼ったらなかなか剝がれません。また、糊やフィルム自体も、何年何十年と経過するうちに少しずつ劣化していきます。こうなってしまったら、後から劣化部分を修理しようと思っても、もう二度と元の状態に戻すことができません。20年後、30年後にも良い状態で資料を利用できるように、できるだけ資料に負担をかけない形で保存するほうが望ましいと考えているため、最低限の装備で済ませるようにしています。

理由その3:個人への直接貸出をしていないため、資料が比較的痛みにくい

 私自身、他の図書館で働いた経験もありますが、やはり資料が貸し出される回数は痛みやすさと大きな関係があると感じています。「資料保存のページ」にも書いてありますが、資料保存の観点からみると、本にとっての大敵の一つに「人間」の存在があります。利用すればするほど資料は痛むため、長期保存するためには「利用しない」ことが最善の方法とされてきました(実際、美術館や博物館などの所蔵品の多くは手で触ることができません。それは「保存」がとても大切な役割だからです。)。

 しかしながら、図書館資料は手に取って読まれるためにこそあるものです。そのバランスをどうするかについては各館でいろいろな考え方がありますが、当館の考え方については、資料保全室の職員によるQ&Aがありますので、ぜひご覧ください。

 以上、今日は都立図書館を利用される方がちょっと疑問に思うかな?と感じたことを取り上げてみました。また、何か気になることがありましたら、このコラムでも取り上げてみたいと思いますので、ぜひご意見をお寄せください。

(書いた人:司書T/収書担当)

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