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2024年3月作成

第4回 都立図書館の「外国語資料」

 都立図書館では、日本語で書かれた資料の他に、外国語で書かれた資料も収集しています。外国語資料の収集・整理は、日本語資料とは異なるルートを辿るため、外国語資料を専門に扱う「海外資料担当」という担当で収集・整理を行っています。そこで、今回のコラムでは、海外資料担当で扱っている「外国語資料」が具体的にどのような資料なのかをお話ししていきます。

「外国語資料」の内訳

 都立図書館が収集する「外国語資料」は、「各分野の基本的参考図書、一般図書及び日本における研究や出版が少ない分野の図書」(『東京都立図書館資料収集方針』より)となっています。年間で約6,700冊を収集し、『事業概要 令和5年度版』に掲載されている令和5年3月31日現在の統計によると、約33万冊の「外国語資料」を所蔵しており、これは都立図書館の蔵書数(約278万冊)の約12%を占めています。
 都立図書館では、この「外国語資料」を、大きく以下の3種類に分けています。

 1. 洋書
 2. 中国語図書
 3. 韓国・朝鮮語図書

 それぞれ収集方法・整理方法が異なるため、海外資料担当の中でも業務をこの3種類に分け、それぞれに担当者がついています。また、3種類のおおまかな蔵書構成比は、洋書67%、中国語図書24%、韓国・朝鮮語図書9%となっています(『事業概要 令和5年度版』より算出)。
 収集基準の一つとして、都立図書館では原書主義を採用しています。基本的には翻訳書ではなく原書を購入するため、例えば中国語の原書とその英語の翻訳書がある場合は、中国語の原書を収集します。ただし、原書が入手できない時や、その言語圏で評価が高い古典など、特定の場合においては英語などの翻訳書を購入することもあります。

 続いて、洋書、中国語図書、韓国・朝鮮語図書それぞれについて、もう少し詳しくお話しします。

洋書

 都立図書館でいう洋書とは、「中国語図書及び韓国・朝鮮語図書以外の外国語の図書」を指しています。具体的には、英語を中心として、ドイツ語、フランス語、その他の言語で書かれた資料を収集しています。洋書における収集言語のおおよその割合は、英語7割、ドイツ語1割、フランス語1割、その他の言語1割です。
 英語の資料では、世界的に権威ある賞の受賞作や世界で最新の研究などの資料が多いです。国際的な賞・研究となると、やはり英語が共通語となることが多いため、英語資料の収集比重が大きくなります。収集の際には、複数の書評誌や受賞情報などを定期的にチェックしているため、話題作は網羅的に所蔵しています。英語以外の資料では、その言語圏特有の文化や課題に関する資料が多いです。資料を入手するのは英語資料に比べるとルートが少ないため苦労しますが、その言語を強みとしている書店に依頼して収集しています。前述の「その他の言語」の中には多くの言語が含まれており、例えば、イタリア語、スペイン語、ベトナム語、ウクライナ語、アラビア語、ギリシャ語、といった言語の資料があります。それぞれの冊数は少ないものの、様々な言語の資料を収集・提供しています。都立図書館の蔵書検索では補足項目として「テキストの言語」があり、言語で絞込検索ができますので、この言語の資料があるか知りたい!という際には使ってみてください。ただし、補足項目のため、「テキストの言語」単独での検索はできません。

中国語図書

 中国語図書とはその名のとおり、中国語で書かれた資料です。ここには中国の少数民族言語も含まれています。中国の少数民族言語の例としては、チベット語、ウイグル語、モンゴル語、満州語などがあります。
 中国語図書では、各民族やその文化、シルクロード、中国古典文学に関する資料を多く収集しています。中国語図書の選書の際に感じることは、出版社違いで内容は同じ図書が多く出版されているなということです。これらは最初の出版から間が空いて、同じタイトルで異なる出版社から出版されていますが、内容が改訂されているとは限りません。他の言語の図書ではあまり見ないので、中国語図書の選書時には特に注意しています。
 中国語図書は1972年から収集を開始しました。年々収集を重ねた結果、その内容とボリュームから、現在では都立図書館の特徴的な蔵書群の1つとなっています。

韓国・朝鮮語図書

 韓国・朝鮮語図書もその名のとおり、韓国・朝鮮語(ハングル)で書かれた資料です。
 韓国・朝鮮語図書では、韓国・北朝鮮の政治経済や社会、日帝強占期と呼ばれる日本統治時代の朝鮮、K-POP等の韓国文化に関する資料を多く収集しています。近年ではジェンダー関連の資料も増えています。また、韓国では翻訳書の出版が比較的多いです。良い内容だと思って書誌事項を確認したら翻訳書だった、ということがままあります。前述のとおり、都立図書館は原書主義で翻訳書は基本購入しないため、選書の時は何よりも先に翻訳書かどうかを確認するようになりました。
 韓国・朝鮮語図書は1975年から収集を開始し、中国語図書と同じく、現在では都立図書館の特徴的な蔵書群の1つとなっています。

さいごに

 以上、都立図書館の「外国語資料」についてのお話でした。日本語資料だけでは得られない情報が外国語資料にはあります。都立図書館の豊富な外国語資料も、ぜひ、調べものの情報源としてご活用ください。

(担当:M/海外資料担当)

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