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第75弾「隣国を歩く -韓国の国立公園-」

2016年4月1日

やわらかな陽射しが降りそそぎ、新緑の香りと共に風が吹き渡る春。
春は気持ちも晴れやかに、外に歩み出したくなる季節です。
家の近くのいつもの散歩道もよいものですが、この春は、さらに一歩踏み出して隣国を歩いてみませんか。日本と同様に、お隣の韓国にも、自然と文化的景観の保護を目的として、韓国政府が指定及び管理している国立公園が存在します。日本とは違った風土や文化によって育まれた自然景観の中を歩くことは、新たな発見や新鮮な喜びを得る機会にもなることでしょう。
今回は、都立図書館で所蔵する韓国書の中から、韓国の国立公園をテーマに本をご紹介します。

지리산 둘레길:행복한 걷기여행』 황소영 글 ; 강병규, 황소영 사진 터치아트 2012年刊
(日本語タイトル「智異山周遊道:しあわせ徒歩旅行」)

智異山(チリサン)国立公園は、1967年に韓国で初めて指定された国立公園です。韓国南部の全羅北道、全羅南道、慶尚南道の三道にまたがるその敷地面積は471,758平方キロメートルに及び、韓国最大の国立公園として知られています。
2012年、この智異山の裾野を一周する周遊道が完工され、そのタイミングで周遊道の写真入り解説本として刊行されたのが、本書『지리산 둘레길   행복한 걷기여행」』です。裾野をめぐる全22コースの周遊道は、特別な登山装備がなくても気軽に歩くことのできる周遊道として人気があり、また、広範な地域にまたがっているために、それぞれの土地の風情が変化に富むのも魅力の一つのようです。実際に智異山の麓で三年間暮らした経歴を持つ著者が著した本書は、各コースの所要時間、案内センターの位置や宿泊情報など必須情報の細やかさもさることながら、智異山という土地の持つ歴史や文化、そこに住む人々の姿も描き出し、紀行文としても読みごたえのある一冊となっています。

경주:신라가 빚은 예술』 최준식 지음 한울 2010年刊
(日本語タイトル「慶州:新羅が生んだ芸術」)

4世紀に朝鮮半島に興った新羅の王都として栄えた慶州(キョンジュ)は、1968年、智異山に次いで二番目に国立公園に指定されました。王都であったために宮殿や王陵などの遺跡が多く残され、また、新羅は仏教を国教として尊んだことから、石窟庵や磨崖仏など貴重な古代仏教文化遺産が数多く現存する慶州は、韓国国立公園の中でも唯一の史跡型国立公園として位置づけられており、2000年には“慶州歴史地区”としてユネスコ世界文化遺産にも登録されています。
本書は、大学で韓国学の教鞭をとる著者が、慶州の二つの顔、王都としての顔と古代仏教の文化遺産としての顔に焦点をあて、美しい写真と共に解説したものです。重要な遺跡について網羅的に取り上げながら、それらが持つ文化的背景についても大変わかりやすく論じています。現代の韓国へとつながる文化の源流を、古都に残された建築物や石仏の造形に見る視点で著された本書を通して、ガイドブックだけでは知り得ない慶州の魅力を知ることができるでしょう。

국립공원 힐링로드 77선』 이야기 만드는 바띠 지음 ; 한국국립공원진흥회 엮음 얘기꾼 2014年刊
(日本語タイトル「国立公園ヒーリングロード77選」)

韓国には、智異山や慶州以外にも21の国立公園があります(2016年3月現在、韓国国立公園管理公団ホームページによる)。本書「국립공원 힐링로드 77선」は、これら21の国立公園の400以上ある道の中から、77の道を厳選し紹介したガイドブックです。
この77の道は、自然そのままの姿ができるだけ保たれていることに加えて歩きやすさも考慮し、老若男女誰でも簡単に歩くことができること、適度な速さで歩いて4時間を超過しないこと等を選定条件として選りすぐられたものです。本書は<渓谷の道><文化の道><散歩の道><森の道><空の道><海岸の道>の六つのカテゴリーに分けて構成されており、その時の気分に応じて歩く道を決めるのに便利です。また、それぞれの国立公園の連絡先や公共交通情報、近隣観光地や特産品の紹介など、実用的な情報もいきとどいており、ぱっと開いたページの場所にまずは行ってみる、という使い方もできます。どのページを開いても、美しい景色の中に伸びる一本の道が見る者を誘う、そんな一冊です。

ここでご紹介した本は、すべてハングルで書かれた韓国書です。ハングルを読める方はもちろん、ハングルはあまり読めないけれど、もう一歩踏み込んだ韓国旅行を計画してみたいという方にも、よき案内役となってくれそうな本を選んでご紹介しました。都立図書館では、この他にも韓国・朝鮮語図書を多数所蔵しています。都立図書館ホームページから蔵書検索機能を使って検索することも可能です。ぜひご活用ください。


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